FRL 自由研究ラボ

はじめての道具箱 — 探す・並べる画面

少ない回数の正答率を信じない

— 「何回のうちの何回か」を一緒に見る —

答えは、解いた回数が少ない分類は判定せず、「最低回数」(何回以上解いたら判定してよいかの線)以上解いた分類だけを、その平均と比べて弱点を選ぶことです。正答率(正解した割合)は、回数が少ないうちはたまたまの結果で大きく動くので、数字だけで強い・弱いを決めてはいけません。

この記事を読むとできること

  • 回数が少ない正答率が当てにならない理由が分かるようになります
  • 「最低回数に満たないものは判定しない」という線の引き方を選べるようになります
  • 「何回以上で」「何と比べて」弱点とするかを AI に正しく伝えられるようになります

想定している使い方

ブラウザで開くチャット型の AI(Gemini や ChatGPT など)にコードを書いてもらい、 それを自分の Mac に保存して動かす使い方です。この記事の操作や画面の説明は、すべて Mac を前提にしています。

  1. 少ない回数の正答率とは
  2. 1問で動く幅
  3. 弱点を選ぶ線引き
  4. よくあるつまずき
  5. AI への伝え方
  6. 確かめ方
  7. 関連する項目

読む目安:約9分 ・ 道具箱の項目 C4(探す・並べる画面)・ 図3枚

少ない回数の正答率とは何か ―― なぜ「回数」も一緒に見る必要があるのか

正答率は、解いた回数のうち、正解した回数の割合です。解いた回数が少ないうちは、1問の正解・不正解で数字が大きく動くので、数字だけでは強いか弱いかを決められません。

たとえば問題集アプリで、問題を分類ごとに分けて、成績を見る画面を作るとします。分類Aは「2回解いて、2回とも外した」(正答率0%)、分類Bは「40回解いて、20回正解した」(正答率50%)です。数字だけを見ると、分類Aのほうが苦手に見えます。

けれども分類Aは、まだ2回しか解いていません。たまたま続けて外しただけかもしれず、3回目に当たれば数字はすぐ変わります。一方、分類Bの50%は、40回の積み重ねなので、あまり動きません。同じ「正答率」でも、どれだけの回数の結果なのかで、数字の重みが違うのです。

そこで、頼む側が「何回以上解いたものだけを判定する」「何と比べて弱いとするか」を先に決めて、言葉にして伝えます。AI に「正答率の低い順に弱点を出して」とだけ頼むと、回数の少ない分類が弱点の先頭に並びやすくなります。この記事の図と例に出てくる数字は、説明のための架空の例です。

✕ 正答率の数字だけで並べると 分類A 2回中0回(0%) 分類B 40回中20回(50%) 0% の分類Aが いちばん苦手に見える たまたまの 結果に振り回される ○ 回数も見て、少ないものは判定しない 「8回以上解いた分類だけ」 最低回数を決めて頼む 分類Aは「まだ判定しない」 十分に解いた分類だけで 弱点を選ぶ 当てになる数字だけが 残る 正答率は、解いた回数とセットで見ます。

図の見方:上の段は、正答率の数字だけで並べた場合で、2回しか解いていない分類Aが、0% という理由だけで最優先の弱点に見えてしまいます。下の段は、「最低回数に満たないものは判定しない」と決めて頼んだ場合で、十分に解いた分類だけから弱点を選べます。

1問の結果で、正答率はどれだけ動くか

回数が少ないと数字が当てにならない理由は、1問あたりの重みです。2回解いて2回とも正解した分類は、正答率が100%です。もし1問外していたら、2回中1回で50%になります。たった1問の違いで、正答率が50ポイント(数字が50だけ)動きます。

40回解いて40回とも正解した分類(100%)は、もし1問外していても、40回中39回の97.5%です。動くのは2.5ポイントだけです。回数が多いほど、1問の結果では数字が動きにくくなります。逆に言うと、回数が少ない数字は、ほんの1問の違いで評価がまったく変わってしまいます。

✕ 回数が少ない(2回) 2回中2回  100% 1問ぶん結果が違うと… 2回中1回  50% → 1問で 50 ポイントも動く ○ 回数が多い(40回) 40回中40回  100% 1問ぶん結果が違うと… 40回中39回  97.5% → 動くのは 2.5 ポイントだけ 回数が多いほど、1問の結果では数字が動きません。 数字は説明のための例です。

弱点を選ぶ線引き:最低回数と平均

では、どう線を引けばよいでしょうか。考え方は2段です。1段めで、一定の回数に満たない分類は、判定の対象から外します(最低回数)。「何回以上なら判定してよいか」に決まった正解はなく、少なすぎると偶然で上下し、多すぎるといつまでも判定が出ません。目安は、1問の違いで正答率が10ポイント前後しか動かない回数です。8回なら1問で12.5ポイント、10回なら10ポイント動くので、最初は8〜10回で始め、どの分類も判定が出ないときだけ少し下げます。

2段めで、判定の対象になった分類のうち、平均を下回るものを弱点にします。ここでの平均は、判定の対象になった分類の解答をすべて合わせた正答率です。下の図では、最低回数を8回とし、4つの分類があるとします。分類Aは2回中0回、分類Bは40回中20回、分類Cは12回中9回、分類Dは20回中18回です。分類Aは2回しか解いていないので、0% でも判定しません。残る3つの合計は、72回中47回の正解で、平均は約65%です。これを下回る分類Bの50%だけが、弱点になります。

弱点を「正答率の低い順に、下から12個」のように数で決める作りも、避けたほうが無難です。判定できる分類が少ないと、正答率の高い分類まで弱点の枠を埋めてしまうからです。「平均を下回るものだけ」にすれば、判定の対象になる分類がまだ無いときに弱点が0個でも、それは正しい結果です。

最低回数は 8 回(説明のための例) 分類A 2回中0回(0%) 回数が足りない → まだ判定しない 分類B 40回中20回(50%) 平均より下 → 弱点 分類C 12回中9回(75%) 平均より上 → 弱点ではない 分類D 20回中18回(90%) 平均より上 → 弱点ではない 判定の対象(B・C・D)の平均 47 ÷ 72 = 約 65% 分類と数字は説明のための架空の例です。

実際の法律クイズの道具でも、この考え方で弱点を探しています。のちにエージェント型コーディング(AI に丸ごと任せるやり方)に移ってから足した機能で、8回以上解いた分類だけを判定の対象にして、その平均を下回るものを弱点に挙げます(同じ問題を繰り返し解いた回数も、解いた回数に数えます)。最初は弱点を「下から12個」のように数で決めたところ、判定できる分類が少ないときに、正答率100%の分類まで弱点に並んでしまいました。コードの動きを確かめる小さな検査(自己テスト)でそれに気づき、「平均を下回るものだけ」に直しています。弱点の並べ順には、回数が少ないことを考えに入れて補正した値を使い、画面に出す数字は補正する前の実際の正答率のままにしています。

よくあるつまずき

起きていることから探してください。

起きていること 原因 どうするか
1〜2回しか解いていない分類が、弱点の先頭に並ぶ 回数を見ずに、正答率の低い順に並べている 「AI への伝え方」の①で、最低回数を決めて、足りない分類は判定の対象から外してもらいます
正答率100%の分類まで、弱点として出てくる 弱点を「下から○個」のように数で決めていて、枠が余っている 「AI への伝え方」の②で、「平均を下回るものだけ」と決めて頼みます
最低回数を大きくしすぎて、どの分類も判定が出ない 解いた回数が、まだ最低回数に届いていない 最低回数を少し下げるか、判定が出ないときは「まだ判定できません」と画面に出してもらいます
画面を見ても、なぜその分類が弱点なのか分からない 正答率だけを出していて、回数が見えない 「AI への伝え方」の③で、「○回中○回」の形で、回数も並べて出してもらいます
平均を下回る分類が1つも出ない 判定の対象になる分類がまだ無い(どれも最低回数に届いていない)。または、すべての分類の正答率がまったく同じ(誤りではありません) 「まだ判定できません」と画面に出してもらい、回数がたまるのを待ちます。無理に弱点を探しません

AI への伝え方

※ この道具箱は対話型コーディング(ブラウザの画面でチャットの AI と文章をやりとりして、コードを書いてもらうやり方)の前提です。 チャットの AI はあなたの Mac を見られないので、頼むのは「コードを書いて」、困ったら出た文字を貼って伝えます。 コツは、「何回以上を判定するか」「何と比べて弱いとするか」を、言葉にして先に伝えることです。 下の文は、そのまま写すためのものではなく、言い方の見本です。

① 回数が少ない分類を、判定から外したいとき

「分類ごとの正答率を出す画面で、解いた回数が8回に満たない分類は、弱点の判定に入れないで。8回という数字は、あとから変えやすいように、1か所にまとめて書いて。コードを書いて」

② 弱点を「平均を下回るものだけ」にしたいとき

「弱点は『下から○個』のように数で決めないで。8回以上解いた分類をすべて合わせた正答率を『平均』として、それを下回る分類だけを弱点にして。1つも無いときは『弱点なし』と出して。コードを書いて」

③ 回数が分かる形で表示したいとき

「弱点の一覧には、『分類B 40回中20回(50%)』のように、解いた回数と正解した回数も一緒に出して。回数が少ないうちは、『まだ参考程度』と分かる印も付けて。コードを書いて」

うまくいかないとき

「弱点の一覧に、2回しか解いていない分類が出てしまう。いま画面に出ている分類と回数は:(ここに貼る)。8回に満たないものを外す書き方に直して」

確かめ方 ―― 回数の少ない数字に振り回されていないか

弱点の一覧と、手元の成績の数字を見比べれば確かめられます。

  1. 1

    弱点に出た分類の「回数」を見る。「AI への伝え方」の③で頼んで「○回中○回」の表示にしてあれば、一覧に出ている分類それぞれの回数を確かめます。画面に回数が出ていないときは、先に③の言い方で頼んで表示を足してもらいます。決めた最低回数に満たない分類が混ざっていたら、①の言い方で頼み直します。

  2. 2

    1問ぶん結果を変えて、動き方を見る。弱点に出た分類の数字を1つ選び、「あと1問当たっていたら、正答率はいくつになるか」を暗算で出します。たとえば8回なら1問で12.5ポイント、40回なら約2.5ポイント動きます。動きが大きすぎると感じたら、その分類は回数がまだ足りないので、最低回数を上げます。

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    平均を、自分の手で計算して合わせる。判定の対象になった分類の「正解した回数」と「解いた回数」をそれぞれ足し、正解の合計を解いた回数の合計で割ります。道具が出している平均と同じになれば、狙った通りに動いています。違っていたら、判定に入っていない分類まで平均に含めていないかを疑って、頼み直します。