AIエージェントことはじめ — LAB 003
AI との会話は、画面を閉じると消えてしまいます。でも Obsidian のノートは .md というただのファイルなので、ずっと残ります。 ノート用のフォルダを作り、その場所を Claude Code に教えるだけで、AI があなたのノートに書き足せるようになります。 前編では、そこまでを一本道で進めます。
この記事を読むとできること
想定している使い方
Claude Code は、LAB 002 のデスクトップアプリ版でも、ターミナル(文字で命令を打ち込むアプリ)版でも構いません。 Claude の有料プラン(Pro 以上)が必要で、Obsidian は無料です。説明はすべて Mac(macOS 13 以降)を前提にしています。
※ 「そもそもコーディングとは?」という段階の方は、先に LAB 001(コーディングとは何か) を読むと、この記事が何をしているのか分かりやすくなります。
読む目安:約11分 ・ 手を動かす目安:約30分(part 1〜4)・ 全2回の前編
AI にコードを書いてもらったり調べ物をしてもらったりしていると、困ることが1つあります。 やりとりの中身が、その会話の中にしか無いのです。 画面を閉じれば流れていき、半年後に「なぜこう直したんだっけ」と思っても、たどる手がかりがありません。
そこで、AI の作業場のとなりに Obsidian(個人なら無料で使えるメモアプリ)を置きます。
Apple のメモや Evernote は、書いたメモをそのアプリだけが読める形でしまい込みます。
一方 Obsidian のノートは、.md というただのテキストファイルです。
だから AI もふつうに読めて、書き足せます。特別な設定は要らず、置き場所を教えるだけです。
図の見方:上の段は、AI との会話だけで作業した場合です。画面を閉じるとやりとりが消え、半年後に「なぜこう直したのか」を思い出せません。 下の段は、AI の作業場のとなりに Obsidian を置き、作業のたびに AI にノートへ記録を書き足してもらった場合です。 ノートは .md という文字だけのファイルとして残るので、あとから読み返せて、別の Mac からも読めます。
part 1 — 目安 10分
obsidian.md から Mac 版をダウンロードし、 開いたら Obsidian のアイコンを「アプリケーション」フォルダへドラッグします。個人で使うなら無料で、アカウント登録も要りません。
Obsidian を起動すると「新規保管庫を作成」というボタンが出ます。保管庫(英語では Vault=ボールト)は、
Obsidian がノートを入れておくただのフォルダのことです。名前は何でも構いませんが、この記事では brain とします。
置き場所は「書類」フォルダの直下にします。
場所を選ぶ画面で「書類」を選んで作成すると、/Users/(自分の名前)/Documents/brain というフォルダができます。
ここが、いちばんつまずきの少ない置き場所です(iPhone と同じノートを見たい人向けの、iCloud Drive(Apple のインターネット上の保管場所とつながったフォルダ)に置く方法は、part 5 にまとめました)。
※ Mac の設定で「書類」フォルダを iCloud と同期している人(システム設定 → Apple アカウント → iCloud → iCloud Drive の「デスクトップと書類フォルダ」がオン)は、書類フォルダ自体が iCloud Drive の中にあります。その場合は part 5 の準備も済ませてください。
次に、Obsidian の中で新しいノートを1枚作り、名前を 作業記録 にします。中身は1行で構いません。
このノートに、part 3 で AI が書き足します。
✓ ここまでの確認:
Finder(Mac でファイルを見るアプリ)で「書類」→「brain」を開くと、作業記録.md というファイルが見える。
Obsidian を通さなくても、ふつうのファイルとして見えます——これが、AI とつなげられる理由そのものです。
part 2 — 目安 10分
Claude Code は、デスクトップアプリ版でも、ターミナル版でも、どちらでも OK です。 できることも設定も同じなので、使いやすい方を選んでください。迷ったら、黒い画面を使わずに済むアプリ版がおすすめです。
LAB 002 の STEP 1 のとおり、デスクトップアプリの Claude を入れてログインし、「Code」を選びます。 LAB 002 を終えている人は、この part はもう済んでいます。
キーボードで ⌘(command)キーとスペースキーを同時に押すと、Mac の検索窓が開きます。「ターミナル」と打って Enter を押すと、文字だけの窓が開きます。 下の1行を右上の「コピー」ボタンで写し、ターミナルに ⌘ と V で貼り付けて Enter を押します。1〜2分で終わります。
curl -fsSL https://claude.ai/install.sh | bash
この1行は「Claude Code の配布元から導入の手順書を取ってきて、そのとおりに実行する」という意味です。 入る場所は自分のユーザーフォルダの中なので、Mac の管理者パスワードは要りません。
終わったら、ターミナルを ⌘ と Q で一度終了して開き直します(新しく入れた道具の場所を、ターミナルに覚えてもらうためです)。
開き直したら次の1行を貼って Enter を押し、2.1.241 (Claude Code) のように数字が出れば入っています。
claude --version
最後に claude と打って Enter を押します。初めてのときはブラウザが開くので、有料プランを契約している Claude のアカウントで承認します。
ターミナルに戻ると、下に入力欄のある会話の画面になります。抜けるときは /exit と打ちます。
claude
✓ ここまでの確認:
アプリ版なら Code の画面が開いている。ターミナル版なら claude で会話の画面が出て、「こんにちは」と打つと返事が返ってくる。
part 3 — 目安 5分
いよいよつなぎます。拍子抜けするほど簡単で、part 1 で作った brain フォルダを、Claude Code の作業場所にするだけです。 Claude Code は、開いたフォルダを自分の仕事場だと考えるからです。
アプリ版:Code の画面で、作業するフォルダとして「書類」の中の brain を選びます。
ターミナル版:会話の画面が開いていたら /exit で抜けます。
cd(「このフォルダに移動する」という命令)と半角スペースを打ち、
続けて Finder の brain フォルダをターミナルの窓へドラッグ&ドロップ(マウスでつかんで、窓の上で離す)します。
フォルダの住所(パス)が自動で入るので、そのまま Enter を押し、claude と打って起動します。
住所(パス)は、打たなくて大丈夫。 ターミナルでフォルダの場所を指定する場面は、どれも Finder からフォルダをドラッグ&ドロップすれば OKです。 つづりを打ち間違える心配がありません(アプリ版で住所を渡す場面だけは、コピーして貼り付けます。part 4 で説明します)。
cd ← このあとに brain フォルダをドラッグ&ドロップして Enter
claude
作業場所を brain にできたら、入力欄にこう頼みます。
作業記録.md の一番下に、今日の日付の見出しと
「Claude Code とつながった」という1行を追記して。
他の行は変えないで。
すると、書き換える前に「このファイルを書き換えていいですか」と許可を求める表示が出ます。 いまは作業場所そのものが brain なので、表示に出てくるファイルが 作業記録.md なら、許可して大丈夫です。 今回は1行を足すだけなので、もし思ったのと違っても、Obsidian でその1行を消せば元どおりです。
ただし、すでにある文を「消す」「書き換える」表示のときだけは、いったん手を止めて中身を読みます。 消えた文は自分では戻しにくいからです。念のため、Obsidian の「ファイルリカバリー」(設定 → コアプラグイン。ノートの少し前の状態を残しておく機能)をオンにしておくと安心です。
Obsidian を開いたままにしておくと、追記された行が画面にそのまま現れます。これが見えたら、つなぐことはもうできています。
✓ ここまでの確認: 作業記録.md に今日の日付と1行が増え、Obsidian の画面にも出ている。ノートを自分の目で開いて、頼んだとおりの1行になっているかを確かめた。 ここで一度やめても「連携できた」と言えます。
※ 初めて brain を開くときは、「このフォルダを信頼しますか」のような確認が出ることがあります。自分で作ったフォルダなので、信頼する側を選びます。 また、初めて「書類」フォルダを触るときに、「“ターミナル”(アプリ版なら“Claude”)が“書類”フォルダ内のファイルへのアクセスを求めています」のような確認が出ることがあります。そのときは「許可」を押します。 ノートが1枚も読めない、見慣れないエラーが出る、というときは part 5 を見てください。
part 4 — 目安 5分
part 3 では、ノート用のフォルダ(brain)の中で Claude Code を開きました。 でも実際には、コードを置いているフォルダで作業しながら、記録だけをノートに書いてもらいたいはずです。 Claude Code は、開いたフォルダの外には、ふだんは触りません。そこで、開くときに「brain も触っていいよ」と追加で渡します。
ここでは、LAB 002 で作った作業用フォルダ code(自分の名前が付いたホームフォルダの中)を使います。
まだ無ければ、LAB 002 の STEP 2 のとおりに作っておきます。
ターミナル版:cd と半角スペースのあとに code フォルダをドラッグ&ドロップして Enter を押し、code フォルダへ移ります。
次に claude --add-dir と半角スペースを打ち、続けて brain フォルダをドラッグ&ドロップして Enter を押します。
--add-dir は「このフォルダも触っていいよ」と渡すための指定です。
cd ← このあとに code フォルダをドラッグ&ドロップして Enter
claude --add-dir ← このあとに brain フォルダをドラッグ&ドロップして Enter
アプリ版:作業するフォルダとして code を選んで会話を始め、入力欄に /add-dir と半角スペースを打ってから、brain の住所を貼り付けて送ります。
住所は、Finder で brain フォルダを選び、option キーを押しながら右クリックして「“brain”のパス名をコピー」を選ぶと写せます
(詳しくは道具箱の ファイル・フォルダ・パス)。
いつものように頼んでみます。
Obsidian の brain フォルダの 作業記録.md の一番下に、
「code フォルダから書いた」という1行を追記して。他の行は変えないで。
許可の表示の中に /brain/ が入っていることを確かめてから許可します。
毎回「記録を書いて」と頼むのが面倒になったら、後編で「頼まなくても記録を書く」状態にします(--add-dir で brain を渡すのは、後編でも同じです)。
✓ ここまでの確認: code フォルダで開いた Claude Code から、brain の 作業記録.md に1行増えた。Obsidian の画面でも、その1行を確かめた。
part 5 — 補足
ここは、困ったときや、使い方を広げたいときに読めば十分です。
Vault を iCloud Drive に置くと、iPhone の Obsidian からも同じノートを読めます。 ただし、2つの準備が要ります(part 1 の注意のとおり、「書類」フォルダを iCloud と同期している人も同じです)。 どちらも、iCloud Drive に Vault を置いて実際につまずいたところです。
① フルディスクアクセスの許可。
iCloud の中は macOS が特別に守っている場所なので、許可が無いと、Claude Code からノートが1枚も読めません。
errno 81 や system error -81 という見慣れない文字が出たら、ほぼこれが原因です。
プログラムの側からは解決できないので、次の手順で人が設定します。
この許可はひとつで後編の STEP 4 にも効きます。ここが抜けていると、後編の STEP 4(MCP)は 「プラグイン(Obsidian に機能を足す部品)が壊れているように見える」という分かりにくい形で失敗するので、iCloud Drive に置く人は先に済ませておきます。
② 「このMacにダウンロードを保持」。 iCloud は、しばらく使っていないファイルの中身をインターネット側に預け、Mac には名前だけを残すことがあります。 その状態のノートに AI が追記すると、本文が消えてしまうことがあります。 Finder で Vault のフォルダを右クリックし、「このMacにダウンロードを保持」を選んでおけば防げます。
※ Dropbox など、ほかの同期サービスに置くこともできますが、同じファイルが2台で書き換えられて2つに分かれる「競合」が起きやすくなります。迷ったら、書類フォルダか iCloud Drive にします。
command not found と出る:ターミナルをまだ開き直していません。⌘Q で終了して開き直します。それでも出るなら、part 2 の1行をもう一度貼ります。errno 81:Vault が iCloud Drive にあるなら、上の①の許可です。--add-dir で渡します。Claude Code には、Claude の有料プラン(Pro・Max など)が必要で、無料プランでは使えません。 Obsidian は個人で使うなら無料です。必要なお金はこれだけで、あとは無料のもので組み立てられます。
後編では、Obsidian に「MCP」(AI とほかのアプリをつなぐための、共通の差込口)を付けて、タグやリンクを使った Obsidian らしい探し方をできるようにします。 また、CLAUDE.md(AI への置き手紙)で、頼まなくても記録を書く状態にします。 どちらも、前編の連携ができていれば、あとから足せます。
NEXT
part 4 まででいったん完成です。ここで一度やめても「連携できた」と言えます。 2週間ほど使ってみて、毎回頼むのが面倒に感じたら、後編に進んでください。
LAB 004
Obsidian として触らせる・毎回自動で書かせる
MCP で Obsidian らしい操作をできるようにし、CLAUDE.md で「頼まなくても記録を書く」状態にします。 →
※ 画面の名前やボタンの場所は、アプリの更新で変わることがあります。
※ Windows でも考え方は同じです(導入のコマンドや許可の設定が違います)。