FRL 自由研究ラボ

自作アプリ紹介 — APP 02

法律クイズ

— 2,749問の過去問を、速く回して弱点を見つける —

法律の選択式の過去問を、◯✖ でテンポよく解き、間違えた所と苦手な分野を見えるようにする。そのために作った自分専用の学習アプリです。 この記事では、ゲームの要素を外して学習に絞った理由と、速く回すための工夫、AI を使った弱点の分析、成績を失わないための工夫を紹介します。

この記事を読むとできること

  • 大量の ◯✖ 問題を速く回すための、画面と操作の工夫が分かります
  • 少ない回数の正答率にだまされずに、苦手な分野を見つける考え方が分かります
  • AI に自分の成績を丸ごと渡さずに、助言だけをもらう分け方が分かります

想定している使い方

Mac の中で小さなアプリを動かしておき、ブラウザ(Safari や Brave など、Web ページを見るためのアプリ)で開いて解きます。iPhone からも同じ画面で解けます。 この記事の説明は Mac を前提にしています。コードは載せていません。作り方の考え方は、最後の「関連する項目」から「はじめての道具箱」へたどれます。

  1. 法律クイズとは何か
  2. 1枚の画面と、成績の預け先
  3. 速解きモード
  4. 解説の重要語句を隠す
  5. 「要復習」と「間違えた問題」
  6. スマホの画面と、Mac の広い画面
  7. 弱点の分析
  8. 成績を失わないための工夫
  9. 使ってみて変わったこと
  10. 関連する項目

読む目安:約11分 ・ 自作アプリ紹介 APP 02 ・ 図3枚

法律クイズとは何か ―― なぜゲームの要素を外したのか

法律クイズは、法律の選択式の過去問を ◯✖ で解き、速く回す・間違いを見直す・弱点を知るための、自分専用の学習アプリです。

収めているのは、行政法・民法・憲法・商法と会社法・基礎法学の5科目、あわせて 2,749問の過去問と解説です。 これだけの数を1回解いて終わりにせず、何周も回して、間違えた問題と曖昧な問題を効率よく見直したい。それが作ったきっかけです。

はじめは、ゲームのような仕組み(ゲーミフィケーション)をたくさん盛り込んでいました。正解するとレベルが上がり、間違えると HP(体力の数字)が減り、 連続で正解するとボス戦が始まります。答えるまでの時間も測り、速く答えるとおまけが付く作りでした。

その後、学習そのものに集中するために、レベル・HP・ボス戦と、1問ごとの解答時間の計測をまとめて外し、 学習に要るものだけを残す形に作り直しました。代わりに、解く速さ、間違いと弱点の見える化、迷わない操作を突き詰めています。 このアプリも、AI にコードを書いてもらって作り、使いながら直してきました。

✕ ゲームの要素を盛り込んだままだと 過去問 2,749問 レベル・HP・ボス戦・解答時間 数字が増えたり減ったりする 学習と一緒に、 ゲームの数字も 画面に並ぶ ○ 学習に要るものだけに絞ると 過去問 2,749問 速く解く・弱点を見る あとで読み直す 何周も回すことに 集中できる 足すより、外す。学習の道具として残したのは「解く・見直す・弱点を知る」の3つです。

図の見方:上の段は、ゲームの要素を盛り込んでいたころです。レベルや HP、解答時間といったゲームの数字が、問題と一緒に画面に並んでいました。 下の段は、学習そのものに集中するためにゲームの要素を外した今の形です。速く解く・弱点を見る・あとで読み直す、の3つに絞っています。

1枚の画面と、成績の預け先

画面は1枚の Web ページだけです。Mac で使うときは、Mac の中で動く小さなサーバー(頼まれた仕事を受け付けて返すプログラム)を通して開きます。 localhost(自分の Mac 自身を指す名前)に、アプリごとの番号(ポート番号。ほかのアプリと区別するための番号)を付けたものがその入口です。

サーバーがあるときは、成績をサーバーが受け取り、iCloud Drive(Apple のインターネット上の保管場所とつながったフォルダ)に保存します。 ほかの Mac で開いても、同じ成績の続きから解けます。

同じ画面は、Netlify(Web ページを置いておけるサービス)のような、サーバーの無い場所に置いて開くこともできます。そのときは、画面はそれを自分で見分け、 成績をブラウザの中の小さな保存場所に置きます。どこで開いても、使う人は預け先を気にせずに解けます。

クイズの画面(1枚の Web ページ) どこで開いても同じ画面。成績の預け先だけを自分で見分ける 預け先は2通り(上から順に試す) Mac のサーバーがあるとき サーバーが成績を iCloud Drive に保存する ほかの Mac からも、同じ成績の続きを解ける サーバーが無いところで開いたとき ブラウザの中の小さな保存場所に成績を置く あとで書き出して、Mac の成績に読み込める

図の見方:いちばん上がクイズの画面で、どこで開いても同じです。その下が成績の預け先で、Mac のサーバーがあるときは iCloud Drive に、無いときはブラウザの中に保存します。 どちらにするかは、画面が開いたときに自分で確かめて決めます。

速解きモード ―― 解説を出さず、◯✖ だけで回す

ふだんは、◯✖ を押すと正解か不正解かと、長い解説が出ます。テンポよく何問も回したいときには、この解説を組み立てて表示するぶんが待ち時間になります。 そこで、学習の設定で 速解きモードを選ぶと、◯✖ を押した瞬間に正解か不正解かだけを出し、解説は組み立てないようにしました。 解説は数千字あるものもあるので、作らないぶんがそのまま速さになります。

「次の問題へ」のボタンは、◯✖ があったのと同じ場所に、同じくらいの大きさで出ます。指を動かさずに次へ進めます。 Mac のキーボードでは、左右の矢印キーで ◯ と ✖ を選び、スペースキーで次の問題へ進めるので、3つのキーだけで回せます。

解説を読みたい問題に出会ったら、その問題だけ「📖 解説を見る」を押せば、その場で開きます。速さを優先しながら、気になった所だけは読める、という使い分けです。

解説の重要語句を、自動で隠す

解説の元になっている資料では、覚えるべき語句を太字や赤い文字にしてあります。画面に解説を出すとき、その語句を薄い赤のブロックで自動的に隠し、穴埋め問題のようにしました。 どこが要点かが一目で分かり、思い出す練習にもなります。

隠れた語句は、タップすると1つずつ開き、もう一度タップすると隠れます。ボタンでまとめて開いたり隠したりもでき、Mac ではスペースキーでも切り替えられます(速解きモードのときは、スペースキーは「次の問題へ」になります)。 最後に選んだ状態は次の問題にも引き継がれます。最初から隠したくない人のために、隠さない設定も用意しました。

「要復習」と「間違えた問題」の2本立て

間違えた問題は、成績から自動で集まります。けれども、正解はしたけれど自信がなかった、という問題もあります。成績だけを見ていると、こうした問題は見直しの対象から漏れてしまいます。

そこで、解説の下に「🔖 要復習」のボタンを置き、自分の意思で印を付けられるようにしました。学習の設定で「要復習マークを付けた問題だけを解く」を選べば、印の付いた問題だけが出ます。 間違えた問題(自動)と要復習(手動)は別の扱いで、成績を全部消し直しても、要復習の印は残ります。印を外すのは1問ずつで、まとめて消すボタンはあえて置いていません。

スマホの画面と、Mac の広い画面

スマホでは、問題文の下に大きな ◯✖ のボタンを並べた1列の画面で、親指で押しやすくしています。 Mac の広い画面では、右上の「表示モード」で PC 画面モード(アプリの中での呼び名)に切り替えると、左に問題文と ◯✖、右に判定と解説が並び、スクロールせずに見渡せます。 画面の幅が足りないときは、モードを切り替えても1列のまま崩れずに表示します。選んだモードは覚えておき、次に開いたときもそのまま使えます。

弱点の分析 ―― 集計は Mac の中で、助言だけを AI に

記録の画面で「🧠 弱点を集計する」を押すと、いまの成績を問題の分類と突き合わせ、科目ごと・145 の小分類(科目の中をさらに細かく分けた分類)ごとの正答率を出します。 この集計は Mac の中だけで行い、AI は使いません。費用もかかりません。

気をつけたのは、回数の少ない正答率を信じすぎないことです。2回解いて2回とも間違えた分類は正答率 0% ですが、たまたまかもしれません。 そこで、のべ8回(同じ問題をくり返した分も数えた、解いた回数の合計)に満たない分類は判定から外しました。並べ方も、ただの正答率ではなく、Wilson の下限(回数が少ないほど「本当はもっと低いかもしれない」と見積もって比べる計算)を使っています。 これで、少ない回数でたまたま上下した分類が上位に紛れ込みにくくなります。弱点として挙げるのは、平均を下回る分類だけです。

集計の結果は、そのまま AI に助言を書いてもらうこともできます。渡すのは集計した文章と、繰り返し間違えた問題・要復習の問題の書き出し(問題文の最初の80字)までで、成績のファイルそのものは渡しません。 「📋 コピー」を押せば、頼み方の文つきでクリップボード(コピーした内容を一時的に置いておく場所)に入ります。すでに使っている Claude(Anthropic 社の AI)のチャットに貼れば、それ以上の費用はかかりません。 「🤖 この Mac の Claude に聞く」を押すと、Mac に入れてある Claude Code(頼んだ作業を AI が自分で進めてくれるアプリ)に1回だけ聞いて、返事を画面に出します。使うのは Claude Code の契約の利用枠で、使った分だけ料金がかかる API(アプリから AI を直接呼び出す窓口)の従量課金は使いません。

このとき Claude には、ファイルを読む・コマンドを動かす、といった道具を一切持たせていません。また、往復して話し込むチャットの形にはしていません。 聞くのは1回で、返ってきた助言を読んで、次に解く範囲を自分で決めます。

いまの成績(問題ごとの解いた回数・正解した回数) ① 集計する(Mac の中だけ・AI なし・費用ゼロ) 145 の小分類ごとに正答率を出す のべ8回未満の分類は、偶然で上下するので外す 平均を下回るものだけを、回数の少なさも考えて並べる 渡すのは、集計した文章と問題文の書き出しまで ② 助言を書いてもらう(Claude) コピーして、使っている Claude のチャットに貼る または、この Mac の Claude に1回だけ聞く 成績のファイルそのものは、AI に渡しません

図の見方:上から順に、成績 → Mac の中での集計 → Claude の助言、の流れです。まん中の集計で、回数の少ない分類を外し、平均を下回るものだけを並べます。 AI に渡るのは、その集計を文章にしたものと、問題文の書き出しまでです。

成績を失わないための工夫

何千問ぶんの成績は、消えると取り戻せません。速く便利にすることより、成績が減る・壊れる方向の失敗を止めることを先に考えました。

減る保存の前に、控えを残す

解いた回数の合計は、ふつうは増える一方です。そこで、保存しようとしている成績の合計が今より減るときは、上書きする前に今の中身を控え(コピー)として残します。 古い端末からの保存や、壊れたデータで上書きされても、元の成績は控えとして残ります。控えは新しいほうから決まった数だけ残し、際限なく増えないようにしています。

途中で止まっても壊れない保存

成績は、いきなり元のファイルに書かず、別のファイルに書き終えてから、まるごと差し替えます。書いている途中で Mac が止まっても、元のファイルは無事なまま残ります。

「読めなかった」を「0件」と扱わない

iCloud Drive には、容量を節約するために、ファイルの中身がまだ Mac に届いていない状態があります。このときに読むと失敗します。 もし失敗を「成績は空」と受け取ると、画面が0から書き直してしまいます。そこで、読めなかったときは中身を取り寄せて読み直し、それでも読めなければ手元の控えで代わりに答え、空の成績は返さないようにしています。 控えも無いときは、画面に注意書きを出して知らせます。

使ってみて変わったこと

数千問の過去問を、何周も速く回せるようになりました。弱点の分野が見えるようになったので、試験の直前の時期にどこを見直せばよいかを迷わずに決められます。

このやり方が向いているのは、資格試験や法律の学習で、たくさんの ◯✖ 問題を何周も回している人です。 自分の学び方に合わせて、画面の作りや AI による分析を組み込みたい人にも合います。

ただし、弱点の分析も AI の助言も、あくまで成績の数字から出したものです。挙がった分類の問題を何問か実際に解き直し、本当に弱いのかを自分の目で1回確かめてから、勉強の計画に入れると安心です。