はじめての道具箱 — データを整理する
— フォルダに入れずに整理する —
たくさんのファイルを整理するとき、ふつうはフォルダに分けて入れます。この記事では、フォルダの代わりにファイル名に分類を書き込む整理のしかたと、そのときに守る決まりを、はじめての人向けに説明します。
この記事を読むとできること
想定している使い方
ブラウザで開くチャット型の AI(Gemini や ChatGPT など)にコードを書いてもらい、 それを自分の Mac に保存して動かす使い方です。この記事の操作や画面の説明は、すべて Mac を前提にしています。
読む目安:約13分 ・ 道具箱の項目 B1(データを整理する)・ 図4枚
分類を「置き場所(フォルダ)」ではなく「ファイルの名前」に持たせる整理のしかたです。たとえば 【料理】【和食】【煮物】肉じゃがの作り方.mp4 のように、名前の先頭に分類を書き込みます。
AI に作ってもらう道具は、たくさんのファイルを自動で一覧にしたり、分類ごとに絞り込んだりするのが得意です。ただし道具は、決まった手がかりがないと、どのファイルがどの分類なのかを知ることができません。
分類がフォルダにしか無いと、ファイルを別の場所へ移したとたんに、その手がかりは消えてしまいます。名前に分類を書き込む決まりを作っておけば、道具は名前を読むだけで仕分けられ、AI にも「この決まりで名前を読んで」と一言で頼めるようになります。
図の見方:上の段は、「料理」→「和食」→「煮物」と重ねたフォルダに入れて分類した動画を、別のドライブ(外付けの記憶装置など)へ移した場合です。移した先には「肉じゃがの作り方.mp4」という名前だけが残り、料理・和食・煮物という分類は消えてしまいます。下の段は、ファイル名に【料理】【和食】【煮物】と書いておいた場合で、どこへ移しても分類が名前と一緒についていくので、道具はそのまま仕分けられます。
ふつうは「料理」フォルダの中に「和食」フォルダを作る、というように、入れ物を重ねて分けます。分かりやすい反面、分類が置き場所そのものなので、ファイルを外へ出すと、どこに入っていたかという情報も一緒に消えます。
名前に書く方法では、すべてのファイルを1つのフォルダに置き、名前の先頭の【】の中に分類を書きます。分類はファイル自身が持っているので、別のドライブ(外付けの記憶装置)へ移しても、そのまま残ります。
筆者の体験メモ
筆者の動画を管理する道具では、動画を2台の外付けドライブの間で行き来させています。分類が名前に入っているので、どちらに置いても同じように仕分けて表示できます。
名前の書き方が決まっていれば、プログラムは【】で区切られた部分を順に拾うだけで、1つのファイルを「大・中・小・タイトル」の4つの欄に分けられます。たとえば【料理】【和食】【煮物】肉じゃがの作り方なら、大は料理、中は和食、小は煮物、タイトルは肉じゃがの作り方です。
すべてのファイルで同じことをすれば一覧表ができ、分類ごとに絞り込むボタンも、名前から自動で作れます。人が1本ずつ仕分ける必要はありません。
最初から完璧な分類を考えなくても大丈夫です。段を増やすときも減らすときも、「今ある名前をどう扱うか」を決めれば変えられます。ただし、変えるたびに全部のファイルの名前を直すことになるので、まとめて直す方法(B2)とセットで考えます。
筆者の体験メモ
筆者の道具では、名前から拾った「中」の分類が画面の上にボタンとして並び、押すとその分類の動画だけが残ります。分類の段も、最初は【大】【中】の2段から始めて、3段、4段へと増やしました。のちに(エージェント型コーディングに移ってから)、使わなくなった2つの段をやめて2段に戻し、1,239本の名前をまとめて直しています。
この整理法のいちばんの落とし穴は表記ゆれ(同じつもりの書き方がばらつくこと)です。人は「だいたい同じ」で読めますが、プログラムは決まりと1文字でも違えば読めません。
下の図では、決まりどおりの【料理】は読めますが、半角の [ ] を使ったもの、【】の中に空白が入ったものは読めません。さらに、順番が入れ替わったものは「中」と「大」が逆に読まれてしまいます。読めないどころか、まちがった分類で読めてしまうので、気づきにくいのです。
筆者の体験メモ
筆者はクイズの道具でも、同じ壁にぶつかりました。問題文の書き方が [問題]・【問題1】・【解答 6】 のように少しずつ違っていて、AI が作った読み取りの決まりと噛み合わず、解答の欄が空になる・解説に解答の記号が混ざるといった失敗が何度も出ました。最後は、書き方の決まりに頼るのをやめて、表(スプレッドシート)の列に分けて持つ形に変えました。
起きていることから探してください。
| 起きていること | 原因 | どうするか |
|---|---|---|
| 一部のファイルだけ、分類が空になる | かっこの種類・空白・全角と半角などの表記ゆれ | 読めなかったファイルを一覧で出してもらい、名前の方を決まりに合わせます |
| 分類が1つずつずれて読まれる | タイトルの中に区切りの記号(【】)が入っている | タイトルに使う記号を別のものに変えます(約束①) |
| 「大」と「中」が逆に読まれる | 名前の中で、分類の順番が入れ替わっている | 名前の順番を「大 → 中 → 小 → タイトル」に揃えます(約束②) |
| 名前が長くて、画面の表が崩れる | 分類を名前に足した分、ファイル名が長くなる | 画面側で折り返す、大事なボタンを表の端に固定する、といった作りにしてもらいます |
| 名前を付けようとしたら、記号が使えないと言われる | Mac のファイル名では「:」(コロン)が使えない | 区切りには【】のように、ファイル名で使える記号を選びます |
| 分類を変えたら、別の記録(お気に入りなど)とつながらなくなった | その記録が「ファイル名」を目印にしている | 名前を変えるときは、その名前を目印にしている記録も一緒に直すコードにしてもらいます |
※ この道具箱は対話型コーディング(ブラウザの画面でチャットの AI と文章をやりとりして、コードを書いてもらうやり方)の前提です。 チャットの AI はあなたの Mac を見られないので、頼むのは「コードを書いて」、困ったら出た文字を貼って伝えます。 ポイントは、決まりを実例つきで伝えることと、決まりに合わないものを黙って捨てさせないことの2つです。自分の分類に置き換えてください。 下の文は、そのまま写すためのものではなく、言い方の見本です。
名前から一覧表を作ってもらうとき
「このフォルダの動画は『【大】【中】【小】タイトル』という決まりで名前を付けている。たとえば『【料理】【和食】【煮物】肉じゃがの作り方』。この決まりで名前を読んで、一覧表にする Python を書いて。決まりに合わない名前は捨てずに、別にまとめて表示するようにして」
決まりを変えたい・段を増やしたいとき
「分類を4段に増やしたい。今ある名前をどう扱うのがいいか、先に案を出して。まだ名前を変えるコードは書かないで」
※ 1つ目の「Python」は、AI がよく使うプログラミング言語(Mac への指示を書くための言葉)の名前です。2つ目の最後の一言が大事で、ファイル名をまとめて変える作業は、まちがえると元に戻すのが大変です。案を見てから実行する2段階にしておくと安心です(まとめて変える方法は B2 で説明しています)。
決まりがうまく働いているかは、一覧を作ったときに「読めなかったもの」がきちんと見えるかで確かめられます。
一覧にしたとき、「決まりに合わず読めなかった件数」が出ているかを見ます。0件か、残っていても1件ずつ理由が分かる状態なら合格です。
適当に3つ選んで、ファイル名と表の「大・中・小」が一致しているかを目で見ます。順番が入れ替わって「まちがって読めてしまう」ものは、件数だけでは見つからないからです。
わざと決まりから外した名前のファイルを1つ作り、それが「読めなかった」側に出てくるかを見ます。出てくれば、表記ゆれを見張るしくみが効いています。