FRL 自由研究ラボ

はじめての道具箱 — データを整理する

ファイル名に分類を書き込む

— フォルダに入れずに整理する —

たくさんのファイルを整理するとき、ふつうはフォルダに分けて入れます。この記事では、フォルダの代わりにファイル名に分類を書き込む整理のしかたと、そのときに守る決まりを、はじめての人向けに説明します。

この記事を読むとできること

  • ファイル名に分類を書き込む整理法の利点が分かるようになります
  • プログラムが名前を読んで仕分けるしくみが分かるようになります
  • 名前の書き方がぶれると読めなくなる理由と、決まりの作り方が分かるようになります

想定している使い方

ブラウザで開くチャット型の AI(Gemini や ChatGPT など)にコードを書いてもらい、 それを自分の Mac に保存して動かす使い方です。この記事の操作や画面の説明は、すべて Mac を前提にしています。

  1. 名前に分類を書くとは
  2. フォルダか、名前か
  3. 名前を読めば表になる
  4. 人には同じ、機械には別物
  5. よくあるつまずき
  6. AI への伝え方
  7. 確かめ方
  8. 関連する項目

読む目安:約13分 ・ 道具箱の項目 B1(データを整理する)・ 図4枚

ファイル名に分類を書くとは ―― なぜその整理法が役に立つのか

分類を「置き場所(フォルダ)」ではなく「ファイルの名前」に持たせる整理のしかたです。たとえば 【料理】【和食】【煮物】肉じゃがの作り方.mp4 のように、名前の先頭に分類を書き込みます。

AI に作ってもらう道具は、たくさんのファイルを自動で一覧にしたり、分類ごとに絞り込んだりするのが得意です。ただし道具は、決まった手がかりがないと、どのファイルがどの分類なのかを知ることができません。

分類がフォルダにしか無いと、ファイルを別の場所へ移したとたんに、その手がかりは消えてしまいます。名前に分類を書き込む決まりを作っておけば、道具は名前を読むだけで仕分けられ、AI にも「この決まりで名前を読んで」と一言で頼めるようになります。

✕ フォルダで分けて、ファイルを移すと 料理 / 和食 / 煮物 / の中に 肉じゃがの作り方.mp4 別のドライブへ移す 名前だけが残る 料理・和食・煮物という 分類が消える ○ 名前に分類を書いて、ファイルを移すと 【料理】【和食】【煮物】 肉じゃがの作り方.mp4 別のドライブへ移す 【料理】【和食】【煮物】… 名前ごと分類がついていく 道具が名前を読んで、 そのまま仕分けられる 分類を「置き場所」ではなく「名前」に持たせると、どこへ移しても分類が残り、道具が名前から仕分けられます。

図の見方:上の段は、「料理」→「和食」→「煮物」と重ねたフォルダに入れて分類した動画を、別のドライブ(外付けの記憶装置など)へ移した場合です。移した先には「肉じゃがの作り方.mp4」という名前だけが残り、料理・和食・煮物という分類は消えてしまいます。下の段は、ファイル名に【料理】【和食】【煮物】と書いておいた場合で、どこへ移しても分類が名前と一緒についていくので、道具はそのまま仕分けられます。

フォルダで分けるか、名前に書くか

ふつうは「料理」フォルダの中に「和食」フォルダを作る、というように、入れ物を重ねて分けます。分かりやすい反面、分類が置き場所そのものなので、ファイルを外へ出すと、どこに入っていたかという情報も一緒に消えます。

名前に書く方法では、すべてのファイルを1つのフォルダに置き、名前の先頭の【】の中に分類を書きます。分類はファイル自身が持っているので、別のドライブ(外付けの記憶装置)へ移しても、そのまま残ります。

フォルダで分ける 分類 = 置き場所 料理 / 和食 / 煮物 / 肉じゃがの作り方.mp4 外へ出すと「肉じゃがの作り方.mp4」だけが残り、 料理・和食・煮物という分類は消える 名前に書く 分類 = ファイル自身が持つ 動画 /(全部この1か所) 【料理】【和食】【煮物】肉じゃがの作り方.mp4 【料理】【洋食】【揚げ物】コロッケ.mp4 【旅行】【国内】【温泉】箱根の宿.mp4 どこへ移しても、分類は名前ごとついていく 別のドライブに移しても、そのまま仕分けられる

筆者の体験メモ

筆者の動画を管理する道具では、動画を2台の外付けドライブの間で行き来させています。分類が名前に入っているので、どちらに置いても同じように仕分けて表示できます。

名前を読めば、そのまま表になる

名前の書き方が決まっていれば、プログラムは【】で区切られた部分を順に拾うだけで、1つのファイルを「大・中・小・タイトル」の4つの欄に分けられます。たとえば【料理】【和食】【煮物】肉じゃがの作り方なら、大は料理、中は和食、小は煮物、タイトルは肉じゃがの作り方です。

すべてのファイルで同じことをすれば一覧表ができ、分類ごとに絞り込むボタンも、名前から自動で作れます。人が1本ずつ仕分ける必要はありません。

ファイル名 【料理】 【和食】 【煮物】 肉じゃがの作り方 .mp4 大:料理 中:和食 小:煮物 タイトル:肉じゃがの作り方 全部のファイルで同じことをすると…… 大  中  小  タイトル 料理 和食 煮物 肉じゃがの作り方 料理 洋食 揚げ物 コロッケ 一覧表ができる 和食 洋食 絞り込みのボタンも自動でできる

段の数は、あとから変えられます

最初から完璧な分類を考えなくても大丈夫です。段を増やすときも減らすときも、「今ある名前をどう扱うか」を決めれば変えられます。ただし、変えるたびに全部のファイルの名前を直すことになるので、まとめて直す方法(B2)とセットで考えます。

筆者の体験メモ

筆者の道具では、名前から拾った「中」の分類が画面の上にボタンとして並び、押すとその分類の動画だけが残ります。分類の段も、最初は【大】【中】の2段から始めて、3段、4段へと増やしました。のちに(エージェント型コーディングに移ってから)、使わなくなった2つの段をやめて2段に戻し、1,239本の名前をまとめて直しています。

人には同じに見えても、機械には別物です

この整理法のいちばんの落とし穴は表記ゆれ(同じつもりの書き方がばらつくこと)です。人は「だいたい同じ」で読めますが、プログラムは決まりと1文字でも違えば読めません。

下の図では、決まりどおりの【料理】は読めますが、半角の [ ] を使ったもの、【】の中に空白が入ったものは読めません。さらに、順番が入れ替わったものは「中」と「大」が逆に読まれてしまいます。読めないどころか、まちがった分類で読めてしまうので、気づきにくいのです。

決まり:「【大】【中】【小】タイトル」 / 区切りは全角の【】 【料理】【和食】【煮物】肉じゃがの作り方 ○ 読める [料理][和食][煮物]肉じゃがの作り方 ✕ かっこの種類が違う 【 料理 】【和食】【煮物】肉じゃがの作り方 ✕ 空白が入っている 【和食】【料理】【煮物】肉じゃがの作り方 ✕ 順番が入れ替わり、大と中が逆に読まれる 最後の例は、読めないどころか「間違った分類で読めてしまう」ので、気づきにくい

決まりを作るときの4つの約束

  1. ① 区切りの記号は1種類だけにします。しかもタイトルの中では使わない記号にします(【】なら、タイトルに【】を入れません)
  2. ② 順番を固定します。大 → 中 → 小 → タイトルの順にし、途中を飛ばしません
  3. ③ 「当てはまらない」の書き方も決めます。空にするのか、決まった言葉を入れるのかを先に決めます
  4. ④ 決まりを書き残し、AI にも同じものを渡します。人と AI で決まりの理解がずれるのを防げます

筆者の体験メモ

筆者はクイズの道具でも、同じ壁にぶつかりました。問題文の書き方が [問題]・【問題1】・【解答 6】 のように少しずつ違っていて、AI が作った読み取りの決まりと噛み合わず、解答の欄が空になる・解説に解答の記号が混ざるといった失敗が何度も出ました。最後は、書き方の決まりに頼るのをやめて、表(スプレッドシート)の列に分けて持つ形に変えました。

よくあるつまずき

起きていることから探してください。

起きていること 原因 どうするか
一部のファイルだけ、分類が空になる かっこの種類・空白・全角と半角などの表記ゆれ 読めなかったファイルを一覧で出してもらい、名前の方を決まりに合わせます
分類が1つずつずれて読まれる タイトルの中に区切りの記号(【】)が入っている タイトルに使う記号を別のものに変えます(約束①)
「大」と「中」が逆に読まれる 名前の中で、分類の順番が入れ替わっている 名前の順番を「大 → 中 → 小 → タイトル」に揃えます(約束②)
名前が長くて、画面の表が崩れる 分類を名前に足した分、ファイル名が長くなる 画面側で折り返す、大事なボタンを表の端に固定する、といった作りにしてもらいます
名前を付けようとしたら、記号が使えないと言われる Mac のファイル名では「:」(コロン)が使えない 区切りには【】のように、ファイル名で使える記号を選びます
分類を変えたら、別の記録(お気に入りなど)とつながらなくなった その記録が「ファイル名」を目印にしている 名前を変えるときは、その名前を目印にしている記録も一緒に直すコードにしてもらいます

AI への伝え方

※ この道具箱は対話型コーディング(ブラウザの画面でチャットの AI と文章をやりとりして、コードを書いてもらうやり方)の前提です。 チャットの AI はあなたの Mac を見られないので、頼むのは「コードを書いて」、困ったら出た文字を貼って伝えます。 ポイントは、決まりを実例つきで伝えることと、決まりに合わないものを黙って捨てさせないことの2つです。自分の分類に置き換えてください。 下の文は、そのまま写すためのものではなく、言い方の見本です。

名前から一覧表を作ってもらうとき

「このフォルダの動画は『【大】【中】【小】タイトル』という決まりで名前を付けている。たとえば『【料理】【和食】【煮物】肉じゃがの作り方』。この決まりで名前を読んで、一覧表にする Python を書いて。決まりに合わない名前は捨てずに、別にまとめて表示するようにして」

決まりを変えたい・段を増やしたいとき

「分類を4段に増やしたい。今ある名前をどう扱うのがいいか、先に案を出して。まだ名前を変えるコードは書かないで」

※ 1つ目の「Python」は、AI がよく使うプログラミング言語(Mac への指示を書くための言葉)の名前です。2つ目の最後の一言が大事で、ファイル名をまとめて変える作業は、まちがえると元に戻すのが大変です。案を見てから実行する2段階にしておくと安心です(まとめて変える方法は B2 で説明しています)。

確かめ方 ―― 「読めなかったもの」が見えているか

決まりがうまく働いているかは、一覧を作ったときに「読めなかったもの」がきちんと見えるかで確かめられます。

  1. 1

    一覧にしたとき、「決まりに合わず読めなかった件数」が出ているかを見ます。0件か、残っていても1件ずつ理由が分かる状態なら合格です。

  2. 2

    適当に3つ選んで、ファイル名と表の「大・中・小」が一致しているかを目で見ます。順番が入れ替わって「まちがって読めてしまう」ものは、件数だけでは見つからないからです。

  3. 3

    わざと決まりから外した名前のファイルを1つ作り、それが「読めなかった」側に出てくるかを見ます。出てくれば、表記ゆれを見張るしくみが効いています。