はじめての道具箱 — 壊さない・消さない
— 取り返しのつく作りにする —
動画の一覧に「削除」ボタンを付けると、押し間違えたときにファイルが戻らない、という困りごとが起きえます。この記事では、削除をゴミ箱へ移す形にしておく理由と、外付けドライブで気をつけることを、はじめての人向けに説明します。
この記事を読むとできること
想定している使い方
ブラウザで開くチャット型の AI(Gemini や ChatGPT など)にコードを書いてもらい、 それを自分の Mac に保存して動かす使い方です。この記事の操作や画面の説明は、すべて Mac を前提にしています。
読む目安:約8分 ・ 道具箱の項目 D1(壊さない・消さない)・ 図3枚
ゴミ箱へ移すとは、ファイルを消さずに、ゴミ箱という置き場所へ動かすことです。ゴミ箱を空にするまでは、ファイルは残っているので、押し間違えても元に戻せます。
道具に「削除」ボタンを付けるとき、ファイルの消し方には2通りあります。1つは、その場でファイルを消してしまう方法です。もう1つは、Mac のゴミ箱へ移す方法です。見た目はどちらも「ボタンを押すとファイルが一覧から無くなる」ので、画面だけでは違いが分かりません。
違いが出るのは、押し間違えたときです。その場で消す作りだと、ファイルは Mac のどこにも残りません。ゴミ箱に入っていないので、戻す方法がありません。一方、ゴミ箱へ移す作りなら、Finder(Mac でファイルを見るためのアプリ)のゴミ箱を開いて、ファイルを取り出せます。
AI に「削除ボタンを付けて」とだけ頼むと、どちらの消し方にするかは AI の判断になります。ファイルを戻せるかどうかは、頼む側が先に言葉にして伝えておくことで決まります。
図の見方:上の段は、押したらその場でファイルを消す作りで、押し間違いに気づいたときには何も残っていません。下の段は、確認を出してからゴミ箱へ移す作りで、気づいたときにファイルを取り出せます。
Mac のゴミ箱は、画面の下の Dock(よく使うアプリを並べた帯)の右端にあります。ファイルをゴミ箱へ入れても、ファイルの中身は消えません。置いてある場所が、元のフォルダからゴミ箱へ変わるだけです。
ゴミ箱の中のファイルを元の場所へ戻すには、Finder でゴミ箱を開き、そのファイルを元のフォルダへドラッグ(クリックしたまま動かして放す操作)します。Finder で捨てたファイルなら、右クリックして「戻す」を選ぶ方法もあります。ファイルが本当に消えるのは、「ゴミ箱を空にする」を実行したときです。このあとは、戻す方法がありません。
もう1つ、道具を作るときに気をつけたいのが名前の重なりです。ゴミ箱にすでに同じ名前のファイルがあるときは、上書きせずに名前の後ろに連番(1、2、3…と続く番号)を付けます。上書きすると、先に捨てたファイルが取り出せなくなるからです。Finder も、同じ名前のファイルを捨てるときは名前を変えて両方残します。自分の道具も、同じように両方残す作りにするよう頼みます。
削除ボタンの確認の文には、ゴミ箱へ移ることと、戻せることを書いておくと安心です。自分の動画管理の道具では、一覧の各行にある「ゴミ箱へ」というボタンを押すと、「本当に削除しますか?」という確認の窓が出て、「ファイルをゴミ箱へ移動します(Finder のゴミ箱から戻せます)」と書いてあります。どの置き場所のファイルかも、確認の文に出しています。その場で消す作りだと、押し間違えたときに取り返しがつかないので、ゴミ箱へ移す作りにしました。なお、この作りに直したのは、チャットの AI の頃ではなく、のちにエージェント型コーディング(AI が Mac の中で直接作業するやり方)に移ってからのことです。
動画のような大きなファイルは、外付けの SSD や HDD(データを保存する機器。USB などで Mac につなぎます)に入れていることがよくあります。Mac の画面には、ゴミ箱が1つだけあるように見えます。ところが実際は、外付けドライブごとに、そのドライブの中にもゴミ箱の置き場所が作られます。Finder は、それらをまとめて1つのゴミ箱として見せています。
自分の道具でファイルを捨てるときも、これと同じにするのが安全です。外付けドライブのファイルを、Mac の内蔵ディスク(Mac 本体に最初から入っている保存装置)のゴミ箱へ入れる作りにすると、ドライブから内蔵ディスクへファイルを丸ごとコピーすることになります。動画が数GBあれば、時間がかかるうえに、内蔵ディスクの空きが減ります。ドライブの中のゴミ箱へ入れる作りなら、同じドライブの中での移動なので、一瞬で済みます。
注意したいのは、空き容量です。ゴミ箱へ移しただけでは、ファイルはドライブの上に残ったままなので、ドライブの空きは増えません。空きを増やしたいときは、ゴミ箱を空にします。ただし、空にすると戻せなくなるので、中身を見てから実行します。
起きていることから探してください。
| 起きていること | 原因 | どうするか |
|---|---|---|
| 削除したのに、ドライブの空き容量が増えない | ゴミ箱へ移っただけで、ファイルはドライブの上に残っている | Finder でゴミ箱を開き、中身を確かめてから「空にする」を実行します。空にすると戻せません |
| 間違えて消したファイルを戻したい | ゴミ箱に入っていれば戻せる。「空にする」を実行したあとは戻せない | Finder でゴミ箱を開き、そのファイルを元のフォルダへドラッグして取り出します。見当たらなければ、空にしたあとの可能性があります |
| 外付けドライブの動画を消すと、時間がかかり、内蔵ディスクの空きも減る | ドライブの中ではなく、内蔵ディスクのゴミ箱へ入れる作りになっていて、ファイルが丸ごとコピーされている | 「外付けドライブのファイルは、そのドライブの中のゴミ箱へ移して」と頼みます |
| 同じ名前のファイルを続けて消すと、ゴミ箱に1つしか残らない | ゴミ箱に同じ名前があるとき、上書きする作りになっている | 「同じ名前がゴミ箱にあるときは、上書きせず、名前の後ろに連番を付けて」と頼みます |
| 削除ボタンを押した瞬間にファイルが無くなり、確認も出ない | 確認の窓を出す作りにしていない | 「押したら確認を出し、ゴミ箱へ移ることも書いて」と頼みます |
※ この道具箱は対話型コーディング(ブラウザの画面でチャットの AI と文章をやりとりして、コードを書いてもらうやり方)の前提です。 チャットの AI はあなたの Mac を見られないので、頼むのは「コードを書いて」、困ったら出た文字を貼って伝えます。 コツは、「消したあとに戻せるか」を、言葉にして先に伝えることです。 下の文は、そのまま写すためのものではなく、言い方の見本です。
① 削除ボタンを付けたいとき
「一覧の各行に削除ボタンを付けて。ファイルはその場で消さず、Mac のゴミ箱へ移して。押したら『ゴミ箱へ移動します。Finder のゴミ箱から戻せます』と書いた確認を出して。コードを書いて」
② 外付けドライブのファイルも消すとき
「消すファイルが外付けドライブの中にあるときは、内蔵ディスクのゴミ箱へコピーせず、そのドライブ自身のゴミ箱へ移して。確認の文には、どのドライブのゴミ箱に入るかも書いて。コードを書いて」
③ 同じ名前のファイルがあるとき
「ゴミ箱に同じ名前のファイルがすでにあるときは、上書きしないで。名前の後ろに『2』『3』と連番を付けて入れて。コードを書いて」
うまくいかないとき
「削除ボタンを押したら、画面にエラーが出て、ファイルがゴミ箱に入らなかった。画面に出ているエラーの文字は:(ここに貼る)。原因を教えて、直して」
試すのは、消えても困らない試し用のファイルを用意してからにします。大事なファイルで試さないでください。次の3つを順に確かめます。
ゴミ箱に入ったか、戻せるかを見る。試し用のファイルで削除ボタンを押し、確認の文を読んでから実行します。Dock の右端のゴミ箱をクリックして、そのファイルが入っているかを見ます。入っていたら、ファイルを元のフォルダへドラッグして、戻せるかを確かめます。ゴミ箱に無かったなら、その場で消す作りになっているので、「ゴミ箱へ移して」と頼み直します。
外付けドライブでは、一瞬で済むかを見る。外付けドライブの中の大きめの試し用ファイルで、同じことをします。削除が一瞬で終わるかを見ます。内蔵ディスクの空き容量も、消す前と後で見比べます。Finder の左側の一覧でディスクの名前を選び、⌘ と I を同時に押すと、空き容量が出ます。時間がかかって内蔵の空きが減るなら、ドライブの中のゴミ箱へ移す作りになっていません。
同じ名前を2つ続けて消す。同じ名前の試し用ファイルを2つ用意し、1つ目を消してから、2つ目を別のフォルダに置いて消します。ゴミ箱に2つとも残っていて、片方の名前の後ろに連番が付いていれば成功です。1つしか無ければ、上書きされています。確かめ終わったら、試し用のファイルはゴミ箱から戻すか、ゴミ箱を空にして片付けます。