はじめての道具箱 — 壊さない・消さない
— ドライブの名前を変えたら全部空になった —
外付けドライブの名前を変えただけで、道具の一覧が全部空になることがあります。原因は、道具の中にドライブの名前をそのまま書き込んでしまう作り(「決め打ち」と呼びます)にしていることです。名前を書き込まず、使うたびに「探して見つける」作りにすれば、名前を変えても一覧は空になりません。
この記事を読むとできること
想定している使い方
ブラウザで開くチャット型の AI(Gemini や ChatGPT など)にコードを書いてもらい、 それを自分の Mac に保存して動かす使い方です。この記事の操作や画面の説明は、すべて Mac を前提にしています。
読む目安:約8分 ・ 道具箱の項目 D2(壊さない・消さない)・ 図3枚
決め打ちとは、あとで変わるかもしれない値(たとえばドライブの名前)を、探さずに、コードの中へそのまま書き込んでおくことです。決め打ちしない作りは、名前を書かずに、使うたびに探して見つけます。
外付けドライブ(USB などで Mac につなぐ、データを保存する機器。中身の仕組みが違う SSD と HDD の種類があります)には、Mac につなぐと画面に出る名前が付いています。この名前は専門的にはボリューム名と呼ばれ、持ち主がいつでも変えられます。Finder(Mac でファイルを見るためのアプリ)でドライブを右クリックして「名称変更」を選べば、その場で変わります。
Mac の中では、外付けドライブの中身は /Volumes/ドライブの名前/ の下に置かれています。たとえば動画フォルダなら /Volumes/ドライブの名前/動画 で、場所の途中に名前が入っています。AI にこの場所を伝えて「ここの動画を読む道具を作って」と頼むと、AI は伝えられた場所をそのままコードに書きます。これが決め打ちです。
動いているあいだは困りません。困るのは、名前を変えた日です。コードが探しに行く旧い名前の場所は、もうどこにも無いので、動画が1本も見つかりません。道具によっては、エラーも出ず一覧が空になるだけで、原因が分かりにくくなります。
AI は、こちらが何も言わなければ、伝えた名前をそのまま使います。「この名前は、あとで変わるかもしれない」と先に伝えておくことで、名前を書かずに探す作りにしてもらえます。
図の見方:上の段は、コードに旧い名前の場所が書いてある作りで、ドライブを改名するとその場所が無くなり、一覧が空になります。下の段は、コードが「動画用の SSD」を探す作りで、改名しても今の名前で見つかります。
場所(パス)は、「/」で区切られた部品が並んだものです。読み方は、関連する項目の「ファイル・フォルダ・場所(パス)とは」にあります。外付けドライブの動画フォルダの場所を部品に分けると、3つになります。1つ目の「/Volumes」は、Mac が外付けドライブを置く場所で、いつも同じです。2つ目はドライブの名前で、持ち主がいつでも変えられます。3つ目の「動画」は、自分で作ったフォルダの名前です。
決め打ちが問題になるのは、真ん中の部品です。ドライブの名前のほかにも、変わりやすい部品があります。Mac のホームフォルダ(自分用のファイルをまとめて置く場所)は「/Users/ユーザー名」という形で、ユーザー名は Mac ごとに違います。別の Mac に道具を移すと、ここが合わずに動かなくなります。ドライブを買い替えたときも、新しいドライブの名前は違うことがあります。
外付けの動画フォルダを読む道具で、場所にドライブの名前が書き込まれていたため、名前を変えた日に一覧が全部空になりました。これを避けるため、「ドライブの名前は直接書かない」を決まりにしておきます。探す作りへの直しは、のちにエージェント型コーディング(AI が Mac の中で直接作業するやり方)に移ってからのことです。
名前の代わりに、ドライブの「性質」で探す方法があります。たとえば「SSD(データを保存する装置の一種で、HDD とは中身の仕組みが違うもの)であるドライブ」のように、変わりにくい特徴を使います。Mac は、つながっているドライブがどんな種類かを調べて答えられます。その「SSD はどれ」という問い合わせは、道具が使うたびに自動で行います。AI に「性質で探す作りにして」と頼めば、そう作ってもらえます。
実際の作りは、探し方をいくつか用意して、上から順に試す形にすると安全です。1つ目は、道具の設定(使う人が場所を自分で入力できる欄。Mac のシステム設定とは別のものです)で場所が決めてあれば、その場所を使うことです。自動で見つからないときの逃げ道になります。2つ目は、名前の候補を並べたリストに合うドライブがあれば、それを使うことです。ドライブの名前を変えたら、新しい名前を候補に足すだけで済みます。3つ目は、名前ではなく性質で Mac に尋ねて探すことです。
探すのは道具を使うたびなので、名前を変えたあとも、次に使うときには今の状態で見つかります。
3つ目の方法がうまくいかない場合が、次の4つです。
Mac の内蔵ディスクが混ざる場合。内蔵ディスクも SSD であることが多いので、Mac 自身のディスクは候補から外す必要があります。
外付けドライブが SSD と判定されない場合。種類によっては、SSD と判定されないこともあります。
同じ性質のドライブが2つある場合。どちらが目的のドライブか分からないので、道具が勝手にどちらかを選ばず、画面で選んでもらう形にします。
どれも見つからない場合。空の一覧を見せずに「ドライブが見つかりません」と画面に出します。空の一覧だと、動画が1本も無いように見えて、気づけないからです。
起きていることから探してください。
| 起きていること | 原因 | どうするか |
|---|---|---|
| ドライブの名前を変えたら、道具の一覧が全部空になった | コードに旧い名前の場所が書かれていて、その場所がもう無い | 「ドライブの名前をコードに直接書かず、探して見つける作りにして」と頼みます |
| 名前を変えた覚えは無いのに、ある日から動かない | 同じ名前のドライブを2つつなぐと、Mac の中の場所では、2つ目の名前の後ろに「 1」のような数字が付いて区別される。名前が変わった形になるため、場所が合わない | 同じ名前のドライブを1つだけつないで試します。それで動くなら、名前の重なりが原因です。根本的には、名前に頼らない作りにしてもらいます |
| 別の Mac に道具を移したら動かない | 「/Users/ユーザー名」の形でユーザー名が書かれていて、Mac ごとにユーザー名が違う | 「ホームフォルダの場所は直接書かず、Mac に尋ねる形にして」と頼みます |
| ドライブを買い替えたら動かない | 新しいドライブの名前が違い、コードの場所が合わない | 「新しいドライブでも見つかるように、性質で探す作りにして」と頼みます |
| 名前を変えるたびに、コードの名前を手で書き換えている | 書き換えは一時しのぎで、決め打ちのまま。次に変えるとまた動かなくなる | 書き換えを続けず、「名前に頼らず探す作りに直して」と頼みます |
※ この道具箱は対話型コーディング(ブラウザの画面でチャットの AI と文章をやりとりして、コードを書いてもらうやり方)の前提です。 チャットの AI はあなたの Mac を見られないので、頼むのは「コードを書いて」、困ったら出た文字を貼って伝えます。 コツは、「この名前は、あとで変わるかもしれない」と先に伝えることです。 下の文は、そのまま写すためのものではなく、言い方の見本です。
① 外付けドライブの中身を読む道具を頼むとき
「外付け SSD の動画フォルダを読んで、一覧にする道具を作って。いまのドライブの名前は『(いまの名前)』だけど、あとで変えるかもしれない。名前をコードにそのまま書かないで、名前が変わっても見つかる作りにして。見つからないときは、空の一覧ではなく『ドライブが見つかりません』と画面に出して。コードを書いて」
② すでに作ってもらったコードを見直すとき
「このコードの中で、ドライブの名前やユーザー名、フォルダの場所が、そのまま書かれている所をすべて教えて。それぞれ、探して見つける作りか、あとから変えられる作りに直して。直したコードを全部書いて」
③ 別の Mac でも使いたいとき
「この道具を、別の Mac でも動かしたい。ユーザー名が入った場所を直接書かず、その Mac のホームフォルダを調べて使う作りにして。コードを書いて」
うまくいかないとき
「ドライブの名前を変えたら、一覧が空になった。画面に出ている文字は:(ここに貼る)。コードの中にドライブの名前が直接書かれていないか調べて、原因を教えて、直して」
試すのは、元に戻せる操作だけにします。ドライブの名前は、あとで元に戻せます。次の3つを順に確かめます。
いまの名前で、一覧が出るのを見る。まず、何も変えずに道具を開き、動画の一覧が出ることを確かめます。ここで出ないなら、名前とは別の原因があるので、先にそちらを直します。
名前を変えて、開き直す。Finder でドライブを右クリックし、「名称変更」で別の名前(たとえば「名前テスト」)にします。そのあと、道具を開き直します。一覧が空にならず、同じ動画が出れば成功です。空になったなら、まだ名前が書き込まれています。確かめ終わったら、ドライブの名前を元に戻します。
ドライブを外して、見つからない表示を見る。Finder でドライブの横の取り出しボタンを押し、取り出してからケーブルを抜きます。その状態で道具を開き、空の一覧ではなく「ドライブが見つかりません」のような表示が出れば成功です。空の一覧が出るなら、見つからないことを知らせる作りにしてもらいます。確かめ終わったら、ドライブをつなぎ直します。