Obsidianセットアップ手帖 — OBS 01
— 入れる前に知っておく、保存の仕組み —
Obsidian は無料で入れられます。入れ方より大切なのは、ノートがどこに、どんな形で残るのかを先に知っておくことです。ノートは、あなたの Mac の中のふつうの文字のファイル(.md)として残ります。この記事では、入れて、その仕組みを押さえ、有料サービスとの線引きまでを決めます。
この記事を読むとできること
想定している使い方
Mac に Obsidian を入れます。個人で使うなら無料で、アカウント登録は要りません。説明はすべて Mac を前提にしています。
※ Claude Code とつなぐ手順は、LAB 003(Mac で Claude Code と Obsidian をつなぐ)にあります。この手帖は、Obsidian 側の最初の設定に絞っています。
読む目安:約8分 ・ 手を動かす目安:約17分(part 1〜3)・ 図2枚
Obsidian は、ノートを書くためのアプリです。Apple の「メモ」や Evernote と違うのは、書いたノートをアプリの中にしまい込まず、Mac の中のふつうのファイルとして残すところです。だから、ほかのアプリでも、AI でも、同じノートを読めます。
その代わり、ノートの置き場所、消したときの行き先、守り方は、自分で決めることになります。クラウド(インターネット上の保管場所)に預けてあるつもりで、実は Mac の中にしか無かった、という思い違いは、仕組みを知らないと起きます。入れ方は数分で済むので、紙面は仕組みの理解に使います。
図の見方:上の段は、仕組みを知らずに使い始めた場合です。ノートの場所が分からず、移すときや守るときに困ります。下の段は、先に仕組みを知った場合です。自分の Mac のファイルと分かるので、置き場所と守り方を自分で決められます。
part 1 — 目安 5分
ブラウザで obsidian.md のダウンロードページ を開き、Mac 版(どの Mac でも使える1つの版)をダウンロードします。ダウンロードしたファイルを開くと、Obsidian のアイコンと「アプリケーション」フォルダが並んだ画面が出ます。アイコンを「アプリケーション」へドラッグすれば、入れる作業は終わりです。
初めて起動するとき、Mac が「インターネットからダウンロードしたアプリです。開いてもよいですか」と確かめてくることがあります。ダウンロード元が obsidian.md であることを確かめてから「開く」を選びます。
起動すると、「保管庫(ほかんこ。英語では Vault)」を作るか、開くかを選ぶ画面が出ます。保管庫の作り方は、次の記事(OBS 02)で扱うので、ここでは作らずに止めて構いません。
最初にやる理由:入れる場所と入れ方を1つに決めておくと、アプリの更新や入れ直しの手順を、あとで思い出さずに済みます。入手先は公式サイトだけにします。
✓ ここまでの確認:「アプリケーション」フォルダに Obsidian のアイコンがあり、起動すると「保管庫を作る・開く」の画面が出る。
part 2 — 目安 6分
Obsidian が扱うノートは、保管庫と呼ぶフォルダの中に、1枚につき1つのファイルとして並びます。ファイルの種類は .md(Markdown(文字に記号を付けて、見出しや太字を表す書き方)で書いた、ふつうの文字のファイル)です。
このため、Finder(Mac でファイルを見るアプリ)でフォルダを開けば、ノートがそのまま見えます。「テキストエディット」のような、Mac にもとから入っているアプリでも開けます。Obsidian を消しても、ノートは消えません。
| 何が | どこにあるか | 消すと |
|---|---|---|
| ノート(.md)と添付ファイル(画像・PDF) | 保管庫のフォルダの中 | 本当に消える(行き先は OBS 03 で決める) |
| 設定・テーマ・プラグイン(機能を足す追加ソフト) | 保管庫の中の .obsidian(名前の先頭が点の、隠しフォルダ) |
設定が初期の状態に戻る |
| 保管庫の一覧 | Mac の共通の設定の中(保管庫の外) | 一覧から消えるだけ。ノートは残る |
ほかのノートアプリと比べると、違いは3つあります。
| 比べるところ | 一般的なクラウド型のノートアプリ | Obsidian |
|---|---|---|
| ノートの保存場所 | サービスの会社のサーバー(データを預かるインターネット上のコンピューター)が中心。ネットにつながないと使えないことがある | Mac の中に保存。ネットにつながなくても使える |
| ファイルの形 | そのアプリ独自の形が多く、取り出しにくい | ふつうの文字のファイル(.md)。アプリが無くても読める |
| ノートの整理のしかた | フォルダの階層で分ける | リンクでつなぐ(フォルダでも分けられる) |
アプリは時代とともに移り変わりますが、文字のファイルで持っているノートは、アプリが変わっても残ります。ノートを「フォルダに入れる」より、「リンクでつなぐ」のが Obsidian の考え方で、リンクの作法は OBS 04 で扱います。
保管庫の外にある共通の設定の場所に、保管庫を作ってはいけません。アプリが自分の設定をしまう場所なので、中身が混ざると壊れます。
最初にやる理由:「ノートは Mac の中のファイル」と分かっていれば、守り方(バックアップ・削除の設定・置き場所)を自分で決める理由が分かります。仕組みを知らないまま設定を飛ばすと、守られていない状態で書き溜めてしまいます。
後回しにすると:クラウドに自動で預かってもらえると思い込んだまま、Mac を初期化したり、フォルダを消したりして、ノートを失う例があります。失ったノートは、アプリでは取り戻せません。
✓ ここまでの確認:「ノートは Mac の中の .md ファイルで、Obsidian を消しても残る」と、自分の言葉で言える。
part 3 — 目安 6分
Obsidian の本体は、個人で使うなら無料です。有料なのは、公式の2つの別サービスです。
| 目的 | 無料の方法 | 有料の公式サービス |
|---|---|---|
| 別の端末(iPhone など)と同じノートを使う | iCloud Drive(Apple のインターネット上の保管場所とつながったフォルダ)に置く(OBS 02) | Obsidian Sync |
| ノートを Web で公開する | ほかの公開の仕組みを自分で用意する | Obsidian Publish |
同じ保管庫に、2つの同期の仕組みを重ねてはいけません。たとえば Obsidian Sync と iCloud を同じ保管庫に使うと、書き込みがぶつかって、ノートが壊れることがあります(公式の注意)。有料サービスを使うときは、iCloud の側から保管庫を外します。
同期の手段は、次の順に考えると選べます。
図の見方:上から順に問いに答えます。右へ進む矢印は、その問いに当てはまったときの行き先です。複数の端末で使わないなら同期は要りません。Apple の端末だけなら iCloud Drive、お金をかけても速さと暗号化(他の人に読まれないよう、中身を読めない形に変えること)を優先するなら Obsidian Sync、どちらでもなければ OneDrive や Google Drive で、この場合は iPhone との連携が公式には対応していません。
のちに登場する publish や permalink という属性(ノートの先頭に書く設定項目)は、Obsidian Publish のためのものです(OBS 05)。契約していなければ、Web 公開の働きはしません。
最初にやる理由:どの仕組みで同期するかは、保管庫を作る前の置き場所の選び方(OBS 02)で決まります。先に線引きを知っておけば、同期の仕組みを途中で入れ替える引っ越しを避けられます。
後回しにすると:同期の仕組みを重ねたあとで気づくと、どちらの版が正しいのかが分からないファイルが増えます。直すには、保管庫を1つに戻して、ノートを見比べる作業になります。
✓ ここまでの確認:自分が使う同期は無料の iCloud か有料の Sync のどちらか1つ、と決めた。
| 起きていること | 原因 | どうするか |
|---|---|---|
| 「開けません」と言われて起動できない | Mac の安全確認に止められている | ダウンロード元が obsidian.md であることを確かめ、アイコンを右クリックして「開く」を選びます |
| 保管庫を作る画面が出ない | 前に保管庫を作ったことがある | 左下の保管庫の切り替えから、新しい保管庫を作る・開くを選びます |
| ノートがどこにあるか分からない | 保管庫の場所を覚えていない | 保管庫の切り替えの画面に、場所が表示されます。Finder(Mac でファイルを見るアプリ)でその場所を開きます |
| 画面の言葉が英語になっている | 表示の言語の設定 | 設定の「一般」で、言語を日本語にします。この手帖は、日本語表示の言葉と、英語の名前を並べて書いています |
1枚1枚のノートが「点」、ノート同士のリンクが「線」です。点と線が増えると、Obsidian の「グラフビュー」(ノートのつながりを図にして見せる画面)に、自分の頭の中のつながりが形として現れます。そのつながりを、数年後も読める文字のファイルで持つ、というのがこの手帖の目指すところです。
ノートがふつうのファイルなので、Claude Code のような AI にも読み書きさせられます。手順は LAB 003 にあります。ただし、AI に触らせる前に、OBS 02〜06 の設定を済ませておくほうが、やり直しが少なく済みます。
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OBS 02
保管庫(Vault)を作る ―― 置き場所を最初に決める
iPhone と同じノートを使うなら置き場所は iCloud の Obsidian フォルダ。やり直しにくい注意点を扱います。 →
※ 画面の名前やボタンの場所、プランの内容、設定の細かな仕様は、アプリの更新で変わることがあります。この記事は公式の説明(2026年10月時点)と実際に使っている環境をもとに書いていますが、動作を保証するものではありません。迷ったときは公式のドキュメントが正です。
※ Windows でも、考え方は同じです。入れ方は公式サイトの案内に従ってください。